ヒーリングセッションやっています

鎌にホコリが積もるとき

男『はぁ、死にたい』

死神『今、死にたいって言いやした?』

男『うわっびっくりしたぁぁ。 ガチ死神じゃん。丁度良いわ。その大鎌でサクッとお願いします』

死神『が、歹?なんだか馴染みある部首ですね。それはともかく、今日はお願いがあって来やした。』

男『死神からのお願いって色んな意味で怖いんだけど。』

死神『その前にこの業界の真実をお教えしましょう。』

男『え?なにそれ…それ聞いても大丈夫なやつなの?知ったら殺されるやつなんじゃ…』

死神『あんた死にたいって言ってませんでした?』

男『そういう死に方は思ってんのと違うっつーか。』

死神『あんたと話してると上司を思い出して腹が立ってしょうがねぇや。』

男『ちょっ怖っ。大鎌持ってイライラされると圧がすげぇわ』

死神『まあ、その上司とも関係があるんでいいですけどね。あっしの上司が誰か分かります?あんたがお望みの「死」ですよ。』

男『どゆこと?死を司っちゃってるのが死神でしょ?』

死神『違いやす。死にあごで使われてるのが死神です。』

男『なんか見えてきたわ。続けて。』

死神『そりゃどうも。死と死神の関係はそっちの世界で言うワンオペってやつでして。これがつれぇのなんの』

男『死神の口からワンオペって聞くとなんとも言えない気持ちになるな』

死神『しかも死の野郎ときたら重箱の隅をつつくようなことばかり言いやがる。やれ鎌の角度が浅いだの、ちゃんと鎌研いでんのかだの。仕事道具を蔑ろにするやつがあるかっての』

男『お、おう。大変なんだな。でもワンオペの気持ちは俺も分かるよ。経験あるし。』

死神『お気持ちだけでもありがてぇです。けど、あっしはもう限界なんです。転職しようと思いやして。』

男『さっきワンオペって言ってなかった?』

死神『へぇ。ですんでお願いしにきました。あんたに死は無いと看破していただきたいんです。』

男『意味が分からんぞ。』

死神『あっしも良くわかってねえんですがね。悟り?とか覚醒?すれば見抜けるとか。』

男『あー俺そういう抹香臭い話苦手なんだよね。』

死神『そこをなんとか。』

男『第一無いと見抜いたところで無くなるもんじゃないでしょ。』

死神『いえ、そこは確認済みでさあ。それがきっかけだったもんで。あんたの言う「死」が、起きた時に死体はあったんですが、あの口うるさい野郎がいなかったんで不思議だったんでさあ。』

死神『あっしはね、正直この仕事が嫌ぇなんです。今は園芸なんぞに興味があります。良いですよね!植物。だからいつか皆が覚醒してこの大鎌がホコリまみれになる時を心待ちにしているんでさあ。』

男『そうか…。俺は覚醒とか宗教みたいなのはごめんだけど、お前は気に入ったよ。腕の良い庭師を見掛けたらお前を思い出すかもな。そんじゃあまたいつか会おうぜ。』

死神『え?すぐ会えますけど。』

男『は?』

死神『だってあんたの中には死はちゃあんといやすからね。後、庭師じゃなくてガーデンデザイナーですよ。』

男『ワンオペの同志よ』

死神『ダメですよ』

男『ダメかぁ』

ペドロ

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