人に備わる願いを叶える器官が
痺れを切らして顕現した
淡い気体が手をこまねいている
魑魅魍魎の類いにしては幼さが残る顔
不死故に、生き抜くことに関心は無く
異界に住まうが故に、煩雑な手順に興味は無い
常識の類いは当然透過する
純粋な欲求のみに食指が動くようで
詰まる所『願い』しか認識できない
その願いに不純物があってはならない
十月十日無努力で願いを想えば
漸く瞼を開けてくれるだろう
主人があまりにも無自覚
あまりにも不器用
そしてあまりにも軽んずるが故に現れた
改めて問うことにする
『あなたの願いはなんだ?』
ペドロ