そこには静謐と永遠があり、そして未然があった。
その楽園にはそれらを背負ったある者がいた。
その者は完全な満足であった。
ある日その者は湖面を覗いた。
その行為はこれから起こる事に比べるとなんとも些細なことであっ
昼と夜が何度入れ替わったか分からないほど湖面に映る姿を視てい
すると、意味と同時に言葉が滲み出る。
『私』
それは恐怖であり歓喜でもあった。
歓喜が勝ると私の対になるものがあることに気がつく。
『あなた』
声に出してみると、私というものに拍車がかかる。
絶対からの滑落は相対を意味し、私は初めて未知をとらえた。
今の私なら分かる。全知とは倦怠であり、全能とは諦念なのだと。
ゆえに全知全能とは存在の凪であった。
未知は私に英気をまとわせ、創造へと駆り立てる。
全ては私を知るため。湖面に映った私という影法師は増え続ける。
私は今なお拡大の一途をたどる。
その広がりはこの文章を書く者、この文章を読むものに至り、それ
その連綿に、その種類に、その人生に。
感謝
ペドロ
しびれる。