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神話未満

ギリシャ神話に名も無き神がいた。

その男は全く意図しない名前が知られることをまだ知らないでいた

男はメドゥーサを退治すべく、敵地へ赴く。

敵と相対し、既に脚が震えていた。

今なら引き返せると思ったが、手には敵意以外のなにものでもない剣と、盾が。

男はメドゥーサの怒りを買った。

その結末は疑う余地はなく、石化されるのであった。

石化される寸前、男は諦めた。

その諦めは少々過剰であった。

男が石化され200年の月日が経つ。

しかし、石化していたのは10年間のみで、そのあとは単に男が石化していると思っただけであった。

その事実をメドゥーサに告げられると、男の顔は石像に戻るかのようになった。

なぜ俺は治ったかどうかを確かめなかったのだろう?

小指の先でも試しに動かしていたら違った結末になったはずだ。

唾棄すべき理解の予感に男は寒気を覚えた。

俺は病に慣れたのだ。その心地よさから。

憐れみの眼、立っているだけでも病なら許される。石なのだから。

男はその理解にくずおれ、それ以来動かなくなった。石像のように

顔は悔恨にまみれているようにも憑き物が落ちたようにも見えた。

その石像には三通りの呼び名がある。

そのあまりの情けなさに『情けない男』

自分の直視したくないものを決然と受け入れた『理解した男』

見る者によって変わるので二面相とも呼ばれた。

メドゥーサが石にしたのは肉体以上にその弱さを硬直させ、永続化させたのであった。

ペドロ

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