椿の花はいつも心配事を抱えている
雨や風でどこか飛んでいってしまいそうとか
鳥に啄まれそうとか
一日中起きてもいないことで神経を磨り減らしてる
死の恐怖に支配された花はどんどん肥大していって
やがて自重に耐えかねた花は落下する
ぼとり
椿の花は椿の木になっていた
椿は花であり木でもあり
そしてただただ椿であるのに
なぜ一部分に囚われてしまったのか
死の予行演習をして少しでも恐怖を軽減したかったのだろうか
虜になったのは間違いないのだから
死の物語はそれ程秀逸だったのだな
その重みが故に惹かれたのだろうが
その重みの力に一つの理解を与えられるとは
森羅万象の笑い声が聞こえてくるようだ
この世の主成分は可笑しみなのかもしれない
ペドロ