人は遅かれ早かれ自覚という化粧をする。
そうでないと舞台へ上がれないからだ。
その化粧は人を否応なく役者へと変貌させる。
そして役者達は筋書きに埋没していく。それが道理だ。
演技力は皆折り紙つきで、状況次第ではすぐ泣き、笑い、怒る。
時にはこの筋書きにうんざりし、変えてくれと懇願するだろう。
しかし、それもまた一つの台詞。これからもその事実は永劫不変だ
台詞とはどんなものであれ刻まれる。
大きな存在が小さな泡のような瞬間を忘れぬよう、岩に刻むのだ。
だからもし、役者を一旦止めたければ黙るしかない。
沈黙という名の幕間にしか休む暇はない。
その沈黙はこの世界に役者がいないことを雄弁に語る。
ただし、沈黙には二種類の沈黙がある。
台本からなる沈黙とそうでないものだ。
安らぎは後者にこそある。
ペドロ
深い